【速読できますか?】英語リーディングで速読を目指す前に知っておくべきこと
学生たちはなぜ「速読」にこだわるのか?
これまで僕は、数えきれないほどの生徒からこんな質問を受けてきました。
「先生、英語の長文が読めません。速読できるようになりたいです」
特に受験生やTOEIC・英検を目指す社会人の方に多く見られます。
その背景には、
- 試験時間が足りない
- 長文が苦手
- 他の受験生は速読しているらしい
- 速読のテクニックを身につければ一発逆転できそう
という思い込みがあるのだと思います。
確かに「速読ができれば有利」と感じるのは当然です。
ですが、実はこの考え方そのものが大きな落とし穴になっていることが多いのです。
そもそも、日本語で速読できていますか?
ここで、冷静に考えてみてください。
あなたは日本語の本を「速読」していますか?
たとえば、
- 小説を10分で読んで全体のストーリーを完全に理解する
- 新聞を1ページ3分以内にすべて読んで要点を押さえる
- 難解な評論文を瞬時に読み解く
こうしたことができていないのであれば、
母国語である日本語でも速読は困難ということになります。
それなのに、外国語である英語でだけ
「速読ができるようになりたい」というのは、
土台のないところに塔を建てようとするようなものです。
速読が必要なのではなく、「精読」が大切
実際の試験を例に考えてみましょう。
たとえば、大学入学共通テストの英語長文(旧センター試験)の第6問。
ここでは大体800〜1000語ほどの英文を20分以内に読み、
設問に解答する必要があります。
この場合、以下のような配分になります:
- 解答時間:約5分
- 残りの15分で本文を読む
- 15分で900語 → 1行約20秒〜25秒(構成による)
つまり、「速読」ではなく、
意味をしっかり理解しながら読む「精読」スピードを
一定時間で保つことのほうが圧倒的に大事なのです。
文章を読みながら構文を正確に把握し、
キーワードや論理の流れを押さえる。
これこそが、試験において最も有効なリーディング法です。
怪しい「速読術」に惑わされないで
最近では、「目を鍛える速読法」「一瞬で読める記憶法」といった
教材やセミナーも見かけますが、英語学習においては
こうしたテクニックに過剰な期待を抱くのは危険です。
実際に英語力がある人たちは、
派手なテクニックではなく、コツコツと
- 文構造を理解する練習
- 単語力・語彙力の強化
- パラグラフリーディング
- 過去問演習での時間配分の訓練
といった地道な努力を重ねています。
近道に見える道こそ、遠回りになることが多い。
正攻法こそが最短ルートなのです。