【英語速読の誤解】本当に必要なのは“精読力”です
英語学習において「速読」はよく話題に上がるテーマのひとつです。しかし、僕がこれまでに何百人もの学生と接してきた中で、こんな相談を何度も受けてきました。
「先生、速読ができません……」
今日はこの“速読”について、僕なりの考えをお話しします。
「速読=速く読むこと」ではない?
まず最初に確認したいのは、**速読という言葉のイメージが独り歩きしていないか?**という点です。
多くの学生が「英語を速く読まなきゃ!」と焦ります。試験の時間が限られていることもあり、「とにかく速く読めれば点が取れる」と考えるのです。
しかしここで、ひとつ問いかけます。
あなたは日本語の小説を10分で読めますか?
僕は無理です。内容を正確に理解するには、どうしても一定の時間がかかります。母国語でさえ“速読”が難しいのに、なぜ外国語ならできると思ってしまうのでしょうか?
「英語速読」に潜む誤解と危険性
書店には「1日5分で英語速読!」とか「英文を1秒で読む方法!」といった、インパクトのあるタイトルの参考書もよく見かけます。ですが、正直なところ、
そんな魔法は存在しません。
仮に速く読めたとしても、内容を理解できていなければ意味がありません。
英語長文を正しく読むためには、語彙力・文法力・構文理解が不可欠です。これらがしっかりしていないと、「速く読む」どころか、読んでも誤読してしまうという結果になりかねません。
センター試験の長文を読むときの現実
たとえば、旧センター試験(共通テスト)第6問の長文を20分で解くとします。長文はおよそ600〜700語、行数にして40〜50行です。
- 20分÷50行=1行あたり約24秒
- 解答時間を含めれば、読解には1行15〜20秒
これ、本当に速読ですか?
実はこれは「普通にじっくり読む」速度とあまり変わりません。つまり求められているのは**速読ではなく、“的確に読む力=精読力”**なのです。
速読よりも「精読力」を高めよう
本当に英語長文を読めるようになりたいなら、まずは1文1文を丁寧に読む“精読”の力を身につけることです。
- 文構造を正しく把握する
- 主語・動詞・修飾語の関係を理解する
- 指示語や接続詞の役割をつかむ
これらを意識して日々の学習を続ければ、結果として「読むスピード」も自然と上がってきます。
怪しい速読法に惑わされないで!
「一瞬で読める」「無意識で理解できる」——
こういった宣伝文句には、正直言って注意が必要です。
語学学習に近道はありません。一つ一つの英文に真剣に向き合うことが、最短で最大の効果を得るための唯一の方法です。
まとめ:英語の読解は“地道な精読”が王道
英語長文を早く正確に読みたい気持ちはわかります。でも、まずは「速く」ではなく「正確に」読むことを意識しましょう。
それが、最終的に「速く正確に読める」力へとつながっていきます。
焦らず、一文一文に向き合う“正攻法”で、着実に読解力を高めていきましょう!